HSFでは、3.11復興支援活動として、内閣府復興支援型地域社会雇用創造事業の助成を受け、後世に震災の教訓を語り継ぐための物語づくりを、宮城県南三陸町の人々とともに行なっています。
過去—現在—未来をつなぐ
三陸地方沿岸部に残る「津波てんでんこ」のように、過去から今に伝わる災害民話は、その時代の「現在」を生きる人が残したものです。私たちが生きている今も、後世の人々から見れば遠い「過去」になります。いつかは誰もが先祖になる、そしてまだ見ぬ将来の世代に伝えたい想いはきっと届く、そのような気持ちで私たちはこのプロジェクトに取り組んでいます。
防災の現代民話
私たちが創ろうとしている民話は、複数の個々人の震災体験を結晶化したもので、その共感の呼び易さ、親しまれ易さ、子どもから高齢者まで及ぶ対象年齢の幅広さといった点から、震災の教訓を持続可能な形で継承していくためには最適な形だといえます。また、ある大学の研究チームが1992年度に全国各市の教育委員会(634箇所)を対象に実施した自然災害に関する民話についてのアンケート調査の結果、5.6%が防災教育のために「現代民話を創作して後世に伝承する」と回答しています。
物語の力
さらに、創られた民話は、後世へ教訓を伝えるだけでなく、被災地復興と平行して取り組まれる観光業の活性化にも貢献していきます。復興のための物語の活用は、既に1989年の米国サンフランシスコ地震後のサンタ・クルーズ市や日本で2007年に起こった中越沖地震後の柏崎市でも取り組まれています。
①聞き取る
まず、このプロジェクトの趣旨を説明した上で、被災した人々が後世に伝えておきたいことをたくさん聞き取りをして集めます。
協力してくれた方々には、些少ですが図書カード1,000円を差し上げています。
②文字に起こす
体験談を文字に起こしながら、避難時や仮設住宅生活での教訓を見つけ出していきます。そして、そうした教訓一つ一つを中心に据えた複数の物語を創作していきます。
被災地の子どもたちがその作業を手伝ってくれています。
③絵を描く
出来上がった物語に、そこに込められた教訓のメッセージだけでなく、その地域の魅力も伝わるような様々なイラストをつけていきます。そ
して、その民話集を印刷し、その地域の学校や、その他の公共施設・飲食店等に寄贈も行います。
④完成した民話は電子書籍化し、オンラインでの販売していきます。そこで得られた収益は、さらなる被災地の文化振興に役立てられていきます。
⑤電子書籍だけでなく、Youtube での絵本スライドショーの配信も行います。多言語への翻訳もして、東日本大震災の教訓が国際社会における防災教育の一環として生かされるよう、普及・啓発活動を行っていきます。
活動地域の紹介:宮城県本吉郡南三陸町
来場者の方と防災、教訓、未来の東北について話す宮城教育大学の井上早紀さん(守られているということのイラスト担当)