「子どもの権利条約」研修会
気仙沼市教育委員会主催の研修会にて高須理事長が登壇
「誰も取り残されない気仙沼」実現プロジェクトの「子どもの尊厳に関する普及・啓発」事業の一環として、2022年8月22日、宮城県気仙沼市の魚市場前庁舎において、市教育委員会主催の「子どもの権利条約」研修会が開催されました。市内の幼稚園、小中学校から25名の先生方が参加され、高須幸雄HSF理事長が講話を担当しました。
気仙沼市の尾形学校教育課長の開会挨拶をうけ、高須理事長より、最初に、子どもの権利条約の成立過程、意義、内容について説明を行いました。子どもの権利条約は、子どもを保護の対象としてではなく、独立した人格と尊厳を持つ権利の主体として尊重します。子どもの権利条約の内容は、子どもの生きる権利、育つ権利、守られ・要求できる権利、社会に参加する権利から構成されており、子どもが安心して生活し、自分の能力を自由に伸ばして成長し、自信をもって意見を述べるようになることを目指しています。子どものことを考える際には、生命・生存・発達の権利、差別の禁止、子どもの意見の尊重、子どもの最善の利益という4原則を常に大事にすることが求められます。日本でも、2022年6月にこの4つの原則を盛り込んだ「こども基本法」が成立し、政府には子どもに関する施策の大綱の策定が、各自治体には大綱に沿って子ども施策の計画の策定、子どもや子どもに関係する人たちの意見を聞くような協議会づくりが求められます。高須理事長はこうした潮流において市町村レベルでの取り組みが重要であり、教育機関においてすべての子どもが子どもの権利条約について学習することが肝要となると指摘しました。
そのうえで、高須理事長より、子どもの権利条約を活かした学校・園づくり、安心できる場所であり続ける学校・園づくり、具体的な授業の進め方について、日本ユニセフ協会の「子どもの権利条約カードブック」などの教材、HSFが2021年12月に市内大谷小学校において実施した出前授業、その他の単発授業、複数回授業の実例を紹介しました。
最後に、ご参加いただいた市内の先生方からいくつかご質問・ご意見をいただき、高須理事長が回答しました。たとえば、他者の意見を受け入れられない子どもたちが増えている背景について質問があり、高須理事長は、他者や異なる意見への寛容度の低下や排除傾向の高まりは日本社会全体の流れを反映しており、学校だけの努力では限度があるが、まずは幼稚園児や若年層から子どもの権利条約の精神を学ぶことによって、子どもの主体性とともに他者や多様性の尊重を重視する場づくりが重要であると述べました。また、就学前の幼児や保護者による学習の重要性が確認されました。
今回の研修会の開催に際し、ご尽力いただいた関係者の皆様、誠にありがとうございました。HSFは、引き続き、気仙沼市の幼稚園・小中学校および学校以外の様々な子どもの居場所において、子どもの権利条約についての理解を深めるための活動を続けていく予定です。