気仙沼市の美しい大谷海岸を望む高台に位置している気仙沼市立津谷中学校で、2024年6月7日(金)13:30~15:20、全校生徒(1〜3年生143名)を対象にこどもの権利の授業を行いました。
最初に「人間の安全保障」フォーラムの高須幸雄理事長が「こどもの人権を大切にするにはどうしたらよいか」について講話をしました。まずガザやウクライナでの戦争、気候変動、貧困、乳幼児の死亡率、未就学児など世界のこどもが直面する課題が多いことを説明しました。それに比べて日本の子どもは戦争や飢餓を経験しないので恵まれているように見えるが、「精神的幸福度」が極めて低く、家庭では一人親世帯の貧困、虐待、学校ではいじめ、不登校など多くの課題があるので、子どもの権利を勉強して、自分の大切さを知ることが重要であると説明しました。
講話の中で「人権ってなんですか?」「人権と子どもの権利の違いは?」と生徒に問いかけると、「平等」、「人が持っている権利」と少し戸惑いながら答えました。言葉は知っていても、説明するのは少し難しいようです。全生徒へ配布した日本ユニセフ協会の「カードブック」を開き、子どもの権利条約の4つの原則、子どもの権利の4つの柱を確認して、権利の内容を学習しました。
その後、グループ議論に入りました。6-7人ずつの24グループに分かれ、3つの問いの答えを考えました。
問1「最も大切だと思う権利2つ」
問2「家庭や学校で守られていないと思う権利2つ」
問3「こどもの権利を守るためにどんなクラスにしたいか?」
すべての生徒がタブレットを持って議論し、回答を打ち込みます。それを先生に共有することで、正面のスクリーンに投影されます。
その後、各グループから3人の代表が出て、スクリーンに投影されたグループの意見を発表しました。最も大切だと思う権利で一番多かったのは、第6条の生きる・育つ権利でした。戦争で多数の子どもが命を奪われているのを知って、生きていないと何もできないという理由で選ぶチームが多かったようです。守られていないと思う権利で一番多かったのは、2条の差別の禁止でした。「こどもの権利を守るためにどんなクラスにしたいか?」という問いには「お互いを認め合う」、「意見が言える」、「仲の良いクラス」などの回答が出ました。自分の意見を言いにくく感じ、いじめや差別を減らしたいと考えている生徒が多いことが分かりました。
津谷中学校はかねてよりESD教育に力を入れており、海洋教育などをテーマに学習を行っています。「ESD、SDGsの土台として人権があるのだから、今回の授業が実現して嬉しい。」と藤山篤校長先生はおっしゃっていました。生徒が発表した「お互いを認め合う」、「意見が言える」、「仲の良いクラス」などをクラス目標として、これからの学習の土台として、また日々の学級運営に生かされることを期待しています。